1. プラント架構の鋼構造設計
 構造設計時配慮する事項
 ・建築基準法及び日本建築学会標準に準拠(標準せん断力係数0.3以上、Ai分布)
 ・兵庫県南部地震、東北地方太平洋沖地震、熊本地震の被害事例を参考に設計
 ・生産性や維持管理に配慮して水平及び垂直筋交を設けない純ラーメン架構で設計
 ・基礎が建物上部に与える影響、上部構造が下部構造に与える影響を考慮
 ・建物全体でバランス良く応力負担を出来るように設計
 ・対角方向の地震力に対しても安全性を確認
 ・露出柱脚基礎の設計は回転剛性を考慮して上部構造の設計はピン柱脚として
  安全性を確認
 ・接合部ディテールの安全性の確認

 

2. 鋼構造物の許容応力度計算と保有水平耐力計算および今後の進むべき道
 プラント架構の構造設計は標準せん断力係数0.3で短期許容応力度計算を実施している。これを保有水平耐力計算と比較した場合について述べる。H型鋼梁の塑性断面は断面係数の1.14倍、JIS規格材を使用する場合の材料強度(F)は1.1倍、ラーメン構造の構造特性係数Dsが0.25、1.14×1.1×0.3/(1×0.25)≒1.5倍となり必要保有水平耐力に対して約1.5倍の余裕が生じてくる。ラーメン架構の鋼構造物の耐力は短期許容応力度設計が支配的になっている。プラントの様な不規則な鋼構造には保有水平耐力計算や限界耐力計算は適合しない。

 

3. プラント架構の耐震設計の傾向
  近年は、「極めて稀に起こる大地震」(震度6弱〜6強)が「まれに起こる地震」になっています。このため、震度6強に対して弾性設計が求められています。1993年以降の震度6以上の地震は全国で63回発生しており、建築基準法地域係数と異なり地域係数の低い地域に大地震が頻発している。
 地域のインフラとしてのプラント架構の設計では、地震時も継続使用できる標準せん断力係数0.45〜1.0での許容応力度計算が求められている。

 

4. 露出柱脚の設計施工要領
 露出柱脚について、これまでの地震で多くの被害事例が報告されている。被害事例としてはアンカーボルトの破断が最も多い。露出柱脚では、比較的固定度が小さいとみなせる形状のものについては、柱脚をピンとして設計しているケースが見られた。しかし、完全なピン柱脚といのはあり得ない。これは、柱脚に発生する曲げモーメントを無視したもので上部構造に対しては安全側になるが柱脚については危険側の設計となってしまっている。露出柱脚の設計にあたっては、「柱脚に発生する曲げモーメントを適切に評価」、「崩壊メカニズム時における柱脚の安定した塑性変形能力の確保」して「柱脚ヒンジ型」として設計する事が望ましい。設計時に柱ヒンジ型を想定して耐力を確保しても、実際に生じる変動軸力によって柱脚が破壊に至る可能性があるため、伸び能力が保証されたアンカーボルトを使用し、柱脚に塑性変形能力を確保しておくことが望ましい
 柱脚はベースパック等の露出柱脚専用工法以外の在来工法を採用する場合、ベースプレートの面圧を確実に基礎コンリートまたは充填グラウト面に伝達させる必要がある。このためには材料の収縮や沈降を考慮して圧力をかけてまま硬化させる必要がある。そして施工はグラウト充填専門工事業者に依頼する。これを怠ると地震時に充填モルタルが砕けて柱脚の性能を発揮できない。グラウト充填不良が原因と思われる柱脚の地震被害は大地震の度に報告されている。

 

5. 価格表
@ プラント架構の鋼構造設計
               表1.1        金額:円 消費税を除く

接点数 許容応力度計算
100 300,000
150 420,000
200 540,000
250 660,000
300 780,000
350 900,000
400 1,020,000
450 1,140,000
500 1,260,000
550 1,380,000
600 1,500,000

 

 

A プラント架構の鉄骨製作図
 以下の金額には3DCADデータ料金を含む。
               表1.2        金額:円 消費税を除く

 

図面名称 作図スケール 数量 金額
各階平面図 1/40〜1/100 1層 50,000〜100,000
軸組図 1/40〜1/100 1面 30,000
階段詳細図 1/30 1基 50,000
接合部詳細図 1/15 1牧 20,000〜50,000
手摺割付平面図 1/40〜1/100 1層 30,000
床割付平面図 1/40〜1/100 1層 30,000

 

 

B プラント架構の基礎スラブの構造設計
               表1.3        金額:円 消費税を除く

 

1スパン 2スパン 3スパン 4スパン
300,000 600,000 900,000 1,200,000

 

 

C 3DCAD FEM解析
3DCAD FEM解析の実施事例を表1.4に示す。
               表1.4        金額:円 消費税を除く

 

解析項目 内容 金額
貯留タンク及び支持部 1基(直径4.5m×高さ12m) 240,000〜480,000
RC接続部架構支持プラケット 1個所 RC接続部架構支持プラケット 360,000〜720,000
露出柱脚 1個所 360,000〜720,000
耐震補強部 1個所 360,000〜720,000
プラント架構 2スパン4層 2,400,000〜3,600,000